物語その2

宇宙人レヨン君

 

その昔

銀河の彼方
アンドロメダ星雲に
ジェスパーという小さな小さな
青くて透き通った綺麗な星がありました

ジェスパーのみんなは数字で会話をします

『1347』「122342」“323441”

こんな風にです

そしてみんないつもニコニコと楽しそうにほほえんでいます

ジェスパーには戦争も苦しみも貧困もないのです

 

ある日、
ジェスパーに
宇宙船がやってきました
誰か地球に行ってみないかというのです
地球は宇宙ではとっても人気で有名な星です
たくさんの星の仲間が
地球に行きたがっています
その中で
レヨン君という
いつもお花やお水やパンと戯れている
流動体の子が
“ぼくがいくーーーーーーーーーーーーーー(・U・)ノ”
っと名乗りあげました
一番行きたい気持ちの強い人が行っていいのです
そんなわけで今回はジェスパーからはレヨン君が地球に行くことになりました。

 

 

宇宙船に乗り込んだレヨン君は地球に行く前にたくさん行かなくてはならないところがありました
そのうちの一つが税関です

 

 

税関でレヨン君は足止めにくらいました
身長が足りないというのです
レヨン君は130センチなくてはいけないところを
110センチしかありませんでした
列をなして並んでいる他の星の人にも心配されました
『ぼうや、そんなにちいさくて大丈夫かい?』
“だいじょうぶなのーーーーーーーーーーーーーー!”
他の星の人はみんな大人みたいな人ばかりでした
レヨン君みたいな小さくて経験の少ない人は少なかったのです
税関の人が困っていると
そこに神様がやってきました
「君なら出来るさ。いってらっしゃい。」
レヨン君はとても小さいけれど経験もあまりないけれども
とても大きなパワーの持ち主だったのです
神様はそれを知っててくれました
喜んだレヨン君は大喜びで
宇宙センター行きの宇宙船に乗り込みました

 

 

宇宙センターではレヨン君は地球のお勉強と
地球ですることをを決めなければなりません
レヨン君はさっそく宇宙センターの図書館に行き
地球の本をたくさん読みました。
レヨン君は地球の中でも“自然”が一等お気に入りでした
そんなわけで“自然”のお勉強ばかりしすぎて
“人”のお勉強はし忘れていました
それが後々大変なこととなるのです
お勉強はちゃんとしなくてはなりませんね

 

 

さてさて地球のお勉強が一通り済んだ所で
今度は地球で経験するプログラムの準備です

 

住むところ・出会う人・身長・体重・性格・....ECT
細かいことまで決めておかなくてはなりません。
宇宙図書館には「経験カセット」というものがあって
様々な人生の大事なことから小さいことまで決める“経験”が詰め込まれたカセットがあります
レヨン君はしたいことがたくさんあって
とてもたくさんの経験カセットをこれでもかというほど
積み上げて貸し出し窓に持って行きました
レヨン君が持ってきた経験カセットには
“せいべつ:女の子”“せいべつ:男の子”“健康具合:元気”“健康具合:普通”“健康具合:病弱”
・・・等々、地球では一度には経験できないものがたくさんありました。
レヨン君が住んでいたジェスパーでは
女の子になったり男の子になったり
いつでも自由自在なのです
だからレヨン君には地球では女の子か男の子かのどちらか片方でなくてはいけないのが
理解できませんでした
図書館の人が一生懸命説明してくれて
レヨン君は“女の子”にすることに決めました
レヨン君の星ジェスパーには“病気”というものがなかったので
レヨン君は最後に“病気”のカセットをそっと積みあげました